スマートフォンやパソコンなど、私たちの生活を支える半導体。その製造には「フォトリソグラフィ」が欠かせません。光を使って微細な回路を描くこの工程は、半導体の性能を左右する重要な役割を担っています。
フォトリソグラフィとは、光を使ってシリコンウェーハ上に非常に細かいパターンを描き出す技術です。
特殊なフォトレジスト(感光材)をウェーハに塗布し、光を当てて特定の部分に化学変化を起こさせます。この変化を利用して、必要なパターンを形成。露光された部分が溶けたり硬化したりすることで、光が当たる場所によってパターンが現れる仕組みとなっています。
基板表面を精密洗浄した後、パターニング(基板にパターンを形成する加工)を施すための薄膜をコーティングします。基板にわずかでもゴミや汚れが残っていたり、薄膜に欠陥があったりするとパターンの仕上がりに影響するため、注意が必要です。
レジストを塗る前には、基板表面の水分(水酸基)を取り除いて疎水性を高めるため、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)で処理するのが通常です。表面が水分を含んだままだと、レジストがはじかれてしまうためです。
その後、薄膜の上に有機溶剤で溶かしたフォトレジストを、スピンコーター(回転塗布装置)などで均一に塗布します。フォトレジストには、ネガ型とポジ型の2種類あり、露光により感光した部分がパターンになるのがネガ型、露光により感光しない部分がパターンとなるのがポジ型です。
フォトレジストを基板に固定するため、有機溶剤を蒸発させる目的で加熱します。温度と時間はレジストごとに設定されており、適切に管理することが重要です。プリベークが最適でないと、後の露光で解像力が十分に出なかったり、露光不良が起きたりする原因になります。
基板に固定したフォトレジストに紫外線を照射し、フォトマスクのパターンを転写する工程です。マスクの精度や透過特性は、転写されるパターンの品質に大きく影響するため、ナノメートル単位での管理が求められます。
露光の後に、PEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる軽い熱処理を行う場合があります。先端のリソグラフィで広く使われる化学増幅型レジストでは、熱によって露光部で起きた化学反応が進み、露光した部分としていない部分の溶けやすさの差が大きくなります。その結果、パターンの輪郭がシャープになります。
露光後、現像液でレジストを処理し、不要な部分を除去してパターンを現像します。ポジ型レジストでは露光部分が溶解し、ネガ型レジストでは非露光部分が溶解。現像後、リンスを行い現像液を完全に除去します。
ウェーハを加熱して、レジスト中に残った溶剤や水分を取り除き、基板との密着性や耐エッチング性を高めます。温度と時間はレジストごとに指定されており、120〜150℃程度で加熱する例もあります。ポストベークは、エッチング工程中のレジスト剥がれを防ぎ、微細なパターンを正確に保持するために必要な工程です。
エッチングとはレジストで保護されていない部分のウェーハを削り、所望のパターンに形成する工程です。化学薬品を用いるウェットエッチングと、プラズマを用いるドライエッチングがあります。
ウェットエッチングは比較的安価で簡単に実施でき、複雑な形状でも均一にエッチングできる点が特徴です。一方ドライエッチングは、微細なパターン形成に有利である反面、コストが高くなります。
エッチング後、不要となったフォトレジストを除去すれば、薄膜のパターンが完成です。
フォトリソグラフィでは、微細なパターンをより高い解像度で転写するために、開口数(NA)が大きなレンズを備えた投影露光装置が使われます。ただし、NAが大きいほど解像力は高くなる一方で、ピントが合う範囲(焦点深度)は浅くなります。そのため、こうした露光は平坦な面に対して行うことが前提となります。
半導体では、成膜やエッチングを繰り返して配線の層を重ねるため、層が増えるほど表面に凹凸が生じます。配線層が増えるにつれ、露光の前に層間絶縁膜を平坦にしておかなければ、良好な投影露光が難しくなることが、平坦化技術の導入が進んだ背景として指摘されています。この平坦化を担う代表的な技術が、CMP(化学機械研磨)です。
| フォトリソグラフィ | 光とマスクを使って、ウェーハ上に微細なパターンを転写する工程です。 |
|---|---|
| CMP | 各層の表面を平坦に整え、次の露光で焦点が合う状態をつくる工程です。 |
半導体の微細化に伴い急速に進化しているフォトリソグラフィ技術。従来の露光方式では解像度に限界がありましたが、近年では極端紫外線を用いたEUVリソグラフィの導入により、ナノスケールのパターン形成が可能になりました。EUVリソグラフィは、5nmプロセスやそれ以下の次世代半導体製造に不可欠な技術となっており、今後もさらなる改良が期待されます。
EUVの次の世代として、レンズの開口数(NA)を0.33から0.55へ高めた「High-NA EUV」の導入が進んでいます。ASMLの年次報告書によると、このプラットフォームが対応する最小の寸法は8nmで、同社は2026年から量産を支えられる見込みとしていました。複雑な多重露光を、1回の露光で置き換えられる点も特徴とされています。
2026年9月のSEMICON Taiwanでは、ASMLがHigh-NA EUVの量産段階への進捗を説明したと報じられています。報道によると、稼働中のシステムは4社で10台、さらに3台が出荷・設置中で、累計の露光枚数は135万枚を超えました。量産対応機「EXE:5200B」は、受け入れ試験で1時間あたり135枚の処理能力を達成したとされ、装置全体の可用率は2026年7月時点で84%、第4四半期に90%を目指すとされています。
一方、導入の時期は半導体メーカーごとに異なると報じられています。たとえばTSMCは、2030年前後に量産へ導入する見通しとされています。
開口数が高まるほど焦点深度は浅くなる関係にあることから、各層を平坦に整えるCMPの役割は、今後も重要であり続けると考えられます。
これらの技術革新により、フォトリソグラフィは今後も半導体産業の発展において重要な役割を果たし続けるでしょう。
このメディアでは、CMP装置の導入を検討している企業向けにさまざまなCMP装置メーカーを紹介しています。
TOPページではウェーハサイズと研磨用途別にCMP装置メーカーを比較して掲載していますので、装置選定の参考としてご活用ください。
\研究開発・安定供給・大型基板対応/
研磨用途別
CMP装置メーカー3選を見る
研究開発からプロセス開発、小規模量産までを見据えたシリーズ。チップサイズから300mmまで、用途に合わせて段階的に検討しやすい構成です。
| ウェーハ サイズ |
チップサイズ 〜300mm |
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200〜300mmの中規模〜大規模量産を見据えたシリーズ。安定した生産体制を重視するCMP工程で比較しやすい領域です。
| ウェーハ サイズ |
200〜300mm |
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300〜450mmの中規模〜大規模量産を見据えたシリーズ。大口径ウェーハや大型基板の高精度加工を重視する場合に比較しやすい領域です。
| ウェーハ サイズ |
300〜450mm |
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