CMP装置の原理

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CMP(化学機械研磨)は、半導体製造でウェーハ表面を均一にならす技術です。化学薬品で表面を柔らかくし、砥粒で削ることで、ナノメートル単位の平坦化を実現します。微細化や多層配線が進む半導体製造に欠かせません。

このページでは、CMP装置の「動作原理」だけでなく、装置を構成する各要素の役割や、微細化にともなって浮上している技術課題まで、一歩踏み込んで解説します。CMP装置そのものの基礎知識をまず知りたい方は、下記のページもあわせてご覧ください。

そもそもCMPとは

CMP(化学機械研磨、Chemical Mechanical Polishing)は、化学的作用と機械的作用を組み合わせて材料の表面を平坦化・平滑化する技術です。研磨剤(スラリー)に含まれる化学成分が表面を軟化・溶解させ、同時に砥粒が機械的に削り取ることで、ウェーハ表面を平坦化します。

微細な回路パターンの形成や多層配線の構築において、表面の平坦度はデバイス性能に直結するため、CMPは欠かせないプロセスです。

CMPの用途

CMPは、主に半導体製造工程で以下の用途に使用されます。

ウェーハの平坦化 デバイス構築前のシリコンウェーハ表面を平滑に整えるために用いられます。
浅溝型素子分離(STI) トランジスタ間の絶縁を目的とした浅い溝を形成し、その上を平坦化する工程で使用されます。
タングステンプラグの埋め込み平坦化 配線層間の接続に使用されるタングステンプラグを形成した後、その表面を平坦化します。
銅配線の形成 銅ダマシンプロセスにおいて、銅配線を形成した後、不要な部分を除去し、表面を平坦化します。

これらの工程において、CMPは高精度な平坦化を実現。微細な回路パターンの形成や多層配線の構築など広く利用されています。

CMP装置の原理

CMPの原理
画像引用元:アイアール公式HP(https://engineer-education.com/semiconductor-processes-21_cmp1/#CMP)

CMP装置の動作原理は、化学的作用と機械的作用の相乗効果による平坦化です。スラリー(化学薬品)がウェーハ表面を軟化させることで、砥粒による研磨が効率的に進行します。このプロセスを高精度に制御すると、ナノメートル単位の平坦度を実現できます。

CMPでは「化学反応(Chemical)」と「機械的研磨(Mechanical)」を同時に利用します。

化学的作用

スラリー中の化学薬品がウェーハ表面の材料(例:銅、タングステン、シリコン酸化膜、低誘電率膜など)を微量に腐食(エッチング)・酸化させます。

この化学変化で表面が軟化または脆化し、機械的研磨による除去が起こりやすくなる作用です。

機械的作用

スラリー中に分散した砥粒(アブレシブ)と研磨パッドによる摩擦で、ウェーハ表面を物理的に削り取ります。

ウェーハとパッドの間の圧力や相対運動により研磨速度が決まり、表面の段差や不要層を平坦化しながら除去していくのが機械的作用です。

研磨速度の制御

研磨速度(削れる量)は、パッド上の圧力(P)と相対速度(V)に比例し、一般的に「Prestonの式」と呼ばれるモデルで表されます。

Removal Rate(除去率) ∝ k(定数) × P(圧力) × V(速度)

kはスラリーや材料などに依存する定数です。スラリーの種類、研磨パッドの種類、荷重(圧力)、回転数、温度などのパラメータを調整することで、表面のエッチング速度や研磨速度を最適化します。実際の圧力・回転数の設定値は、ウェーハサイズや研磨対象の膜種、装置メーカーの推奨レシピによって大きく異なり、量産機と研究開発用途の小型装置とでも条件は変わります。

CMP装置の構造要素

CMP装置は、原理をそのまま実現するために複数の構成要素が連携して動作しています。ここでは、動作原理を理解するうえで欠かせない主要な要素を紹介します。

プラテン(定盤)

プラテンは、研磨パッドを取り付けて回転する円盤状の土台です。プラテンの回転精度がそのままナノメートル単位の平坦度に影響するため、高精度な回転制御が求められます。

研磨ヘッドとリテーナリング

研磨ヘッドは、ウェーハを保持して研磨パッドに押し付ける役割を担います。ヘッドの周囲にはリテーナリングと呼ばれる部品が取り付けられており、研磨パッドをウェーハに均一に当てるとともに、研磨中のウェーハの位置ずれや飛び出しを防止します。

エアパッド・柔らかいフィルム

研磨パッドには弾力があるため、ウェーハと研磨ヘッドの間にはエアパッドや柔らかいフィルムが挿入されています。これらを介して圧力をかけることで、ウェーハ表面全体に均一な圧力を伝え、平坦性を高めています。研磨ヘッドとプラテンが互いに逆方向に回転する「ロータリー式」が現在の主流です。

参照元:アイアール技術者教育研究所公式HP(https://engineer-education.com/semiconductor-processes-21_cmp1/)

微細化にともなうCMPの技術課題

半導体の微細化・多層配線化が進むにつれて、CMPプロセスにも新たな技術課題が生じています。

ディッシングとエロージョン

銅配線などの軟らかい金属部分が周囲の絶縁膜よりも早く削れてしまい、配線部分がくぼんでしまう現象を「ディッシング」と呼びます。同様に、配線パターンが密集した領域で絶縁膜側が過剰に削れてしまう現象は「エロージョン」と呼ばれます。いずれも配線の抵抗上昇や後工程での不具合につながるため、スラリーの選定や研磨条件の最適化による抑制が求められます。

スクラッチ(微細な傷)

スラリー中に粗大な砥粒や異物が混入すると、局所的な圧力集中が起こり、ウェーハ表面に微細な傷(スクラッチ)が発生することがあります。スクラッチは歩留まり低下に直結するため、スラリーの品質管理や研磨パッドのコンディショニングが重要になります。

これらの課題への対応として、装置メーカー各社はスラリーの改良や研磨パッドの改善、装置の精度向上に継続的に取り組んでいます。

参照元:西進商事株式会社公式HP(https://www.seishin-syoji.co.jp/column/column-cmp/)

CMP装置を使った工程

CMP装置を使用した研磨工程は、以下の手順で実施されます。

  1. ウェーハのセットアップ(固定)
    ウェーハは保持具(プラテン)に固定され、表面が研磨パッドに接触するように配置されます。この固定は、高精度な研磨を行うために非常に重要です。
  2. スラリーの供給と研磨
    研磨パッド上にスラリーを流し、ウェーハを押し付けながら回転開始。研磨パッドの弾力性を利用し、エアパッドや柔らかいフィルムを挿入することで均一な圧力をかけられます。研磨条件(圧力、速度、スラリーの成分など)は、材料特性に応じて調整される仕組みです。
  3. 仕上げと検査
    研磨後、ウェーハ表面の平坦度を確認します。必要に応じて、追加研磨が実施されることもあります。

今後、CMP技術はさらなる高精度化と低コスト化が求められ、新しい材料やスラリーの開発、装置の最適化が進むと予想されます。半導体製造技術の高度化に伴い、CMP装置の重要性はますます増していくでしょう。

CMP装置メーカー各社の
製品を見る

このメディアでは、CMP装置の導入を検討している企業向けにさまざまなCMP装置メーカーを紹介しています。

TOPページではウェーハサイズと研磨用途別にCMP装置メーカーを比較して掲載していますので、装置選定の参考としてご活用ください。

\研究開発・安定供給・大型基板対応/ 研磨用途別
CMP装置メーカー3選を見る

研磨用途別
CMP装置おすすめ3選
研究開発から
小・中規模量産
まで見据えたい

北川グレステック
DCM/ARWシリーズ

北川グレステックのCMP装置 DCM/ARWシリーズ
引用元:北川グレステック公式HP
https://www.kitagawagt.co.jp/product/product_cat/semiconductor/
特徴

研究開発からプロセス開発、小規模量産までを見据えたシリーズ。チップサイズから300mmまで、用途に合わせて段階的に検討しやすい構成です。

ウェーハ
サイズ
チップサイズ
〜300mm
安定した量産体制
確立したい

荏原製作所
F-REXシリーズ

荏原製作所のCMP装置 F-REXシリーズ
引用元:荏原製作所公式HP
https://www.ebara.co.jp/products/details/FREX300XA.html
特徴

200〜300mmの中規模〜大規模量産を見据えたシリーズ。安定した生産体制を重視するCMP工程で比較しやすい領域です。

ウェーハ
サイズ
200〜300mm
大型基板の加工精度
向上させたい

岡本工作機械製作所
PNXシリーズ

岡本工作機械製作所のCMP装置 PNXシリーズ
引用元:岡本工作機械製作所公式HP
https://www.okamoto.co.jp/polishing-machine
特徴

300〜450mmの中規模〜大規模量産を見据えたシリーズ。大口径ウェーハや大型基板の高精度加工を重視する場合に比較しやすい領域です。

ウェーハ
サイズ
300〜450mm
研磨用途別
CMP装置3選